【結論】蓄電池リースは10年以内の利用なら購入よりお得
蓄電池の導入を検討しているなら、初期費用0円で利用できる「リース」という選択肢があります。
結論から言うと、10年以内の利用であればリースの方が総費用を抑えられる場合が多く、初期費用を抑えたい方には特におすすめです。
一方、15年以上の長期利用を予定している場合は、補助金を活用した購入の方が経済的になる傾向があります。
本記事では、蓄電池リースの仕組みから具体的な費用比較、メリット・デメリット、さらに2025年最新の補助金情報まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。
蓄電池リースとは?基本的な仕組みを解説
リース・レンタルの定義と契約内容
蓄電池リース・レンタルとは、月額料金を支払うことで、蓄電池を一定期間利用できるサービスです。契約期間は10〜15年で、月額料金の中には機器代金・工事費用・メンテナンス費用などが含まれています。
蓄電池リースの基本的な特徴
項目 | 内容 |
---|---|
契約期間 | 10年~15年(固定) |
初期費用 | 0円 |
月額料金 | 5,000円~25,000円程度 |
中途解約 | 原則不可(違約金発生) |
メンテナンス | 月額料金に含まれる |
所有権 | リース会社に帰属 |
月額料金の内訳
蓄電池のリース・レンタルで発生する月額料金は、5,000円~25,000円程度が一般的です。実際の費用感は蓄電池の容量やメーカー、契約期間によって異なります。
月額料金に含まれるもの:
- 機器使用料:蓄電池本体の利用料
- 設置工事費:初期設置にかかる工事費用
- メンテナンス費用:定期点検・修理費用
- 保険料:機器の損害保険
蓄電池リースのメリット・デメリット
リースの7つのメリット
1. 初期費用0円で導入可能
蓄電池を購入すれば、工事費込みで100万円以上の費用がかかりますが、リース・レンタルは初期費用がかかりません。
一般的な蓄電池の購入費用は以下の通りです:
容量 | 機器代 | 工事費 | 合計 |
---|---|---|---|
5kWh | 80~100万円 | 20~30万円 | 100~130万円 |
7kWh | 100~130万円 | 20~30万円 | 120~160万円 |
10kWh | 130~180万円 | 30~40万円 | 160~220万円 |
2. メンテナンス・修理費用が不要
蓄電池のリース・レンタルなら、契約期間中に蓄電池のメンテナンス・必要な修理作業を行ってもらえるのもメリットです。リース料金には通常、必要に応じたメンテナンスコストが含まれています。
購入の場合のメンテナンス費用:
- 定期点検:1回あたり1~3万円
- 部品交換:2~5万円
- 大規模修理:20~50万円
3. 月々の支出が一定で家計管理しやすい
月額固定料金のため、急な出費がなく家計の見通しが立てやすくなります。
4. 太陽光発電との同時導入がしやすい
太陽光発電と同時に蓄電池を導入する場合には、両方の機器購入費用や工事費用を合わせると高額な費用になってしまいます。リース・レンタルなら初期費用を抑えられるため、同時導入がしやすくなるでしょう。
5. 手続きが簡単
販売会社がリース契約の手続きを代行してくれるため、面倒な手続きが不要です。
6. 廃棄費用・手間が不要
契約終了時の機器の廃棄や撤去は、リース会社が行うため手間がかかりません。
7. 災害時の保証が充実
「あっと!電化パック蓄電池」なら、災害保証が充実でいつでも修理対応いたします。万一、災害時に修理不可能な状態になったとしても、リース契約を終了し残リース料金・撤去費用は申し受けません。
リースの5つのデメリット
1. 機種・メーカーの選択肢が限定される
最も大きいデメリットは、リース・レンタルサービスの蓄電池は、メーカーや容量が指定されていることです。機種や性能を自分で選ぶことができない点もデメリットです。
2. 中途解約ができない
リースの契約は10年間と固定されているため、期間中に解約すると違約金がかかってしまいます。
3. 長期利用では総費用が高くなる
20年以上の長期利用では、購入の方が総費用を抑えられる場合があります。
4. 所有権がない
10年、20年とレンタル料金を支払い続けても、蓄電池が自分のものにならない点にも注意しましょう。
5. 補助金の恩恵が限定的
補助金を出している多くの市町村が「購入した家庭用蓄電池」を補助金の対象としており、リースでは補助金が出ないのが現状です。
【2025年最新】蓄電池リースと購入の費用比較
5kWh蓄電池の10年間費用比較
項目 | リース | 購入 |
---|---|---|
初期費用 | 0円 | 100万円 |
月額料金 | 6,490円 | 0円 |
10年総費用 | 77万8,800円 | 100万円 |
補助金 | なし | -20万円 |
実質総費用 | 77万8,800円 | 80万円 |
この試算では、蓄電池を10年間だけ使うならリース・レンタルのほうがお得で、それ以上使用期間が長くなるなら購入した方がお得になる、という結果が得られました。
月額料金の相場
●約1,700~2,200円/kWh(税込)が蓄電池レンタル費用の相場と言えるでしょう。
容量別月額料金の目安:
容量 | 月額料金(税込) |
---|---|
5kWh | 8,500~11,000円 |
7kWh | 11,900~15,400円 |
10kWh | 17,000~22,000円 |
蓄電池リースの提供会社とサービス比較
主要なリース会社一覧
2020年3月現在、蓄電池レンタル・リースサービスを提供しているのは、「株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス(中国電力)」と「株式会社Eライフ・パートナーズ(東北電力)」の2社のみです。
主要リース会社の特徴:
会社名 | 提供エリア | 契約期間 | 特徴 |
---|---|---|---|
エネルギア・ソリューション・アンド・サービス | 中国電力エリア | 10年 | 災害保証充実 |
中部電力ミライズ | 中部電力エリア | 10~15年 | カテエネリース |
九州電力 | 九州電力エリア | 10年 | スマートリース |
大阪ガス | 関西エリア | 10年 | らく得リース |
サービス内容の比較
共通のサービス内容:
- 初期費用0円
- 工事費込み
- メンテナンス費用込み
- 機器保証付き
- 契約満了時の所有権移転(一部)
【2025年最新】蓄電池補助金情報
国の補助金制度
DR補助金(分散型エネルギーリソース補助金)
2025年度は、2024年度の補正予算によって行われるため、補助金の申請期間は、2025年4月中旬頃~2025年12月5日(金)までですが、予算の上限に達した時点で終了となります。
DR補助金の概要:
項目 | 内容 |
---|---|
申請期間 | 2025年4月中旬~12月5日 |
補助額 | 設備費・工事費の1/3(上限60万円) |
対象 | DRに対応可能な蓄電池 |
条件 | 実証事業への参加(年間1週間程度) |
子育てエコホーム支援事業
子育て世帯・若者夫婦世帯が対象の補助金制度です。
補助金額:
- 蓄電池:設備費の1/3
- 上限:64万円
地方自治体の補助金
東京都の補助金
東京都では2019年4月1日以降に買った蓄電池に、最大60万円補助金が支給されます。
主要自治体の補助金額(2025年度):
自治体 | 補助額 | 条件 |
---|---|---|
東京都 | 最大60万円 | 都内住宅への設置 |
神奈川県 | 最大80万円 | 太陽光発電との併設 |
愛知県 | 最大40万円 | 県内在住者 |
大阪府 | 最大30万円 | 新品蓄電池 |
リースでの補助金活用
蓄電池のリース・レンタルでは、国や自治体が出している補助金の恩恵を間接的に受けられるのもメリットです。リース会社が補助金を受け取ることで、リース料金に転嫁できるため、その分だけ月々の費用を抑えられます。
どちらを選ぶべき?リースと購入の判断基準
リースが向いている人
以下の条件に当てはまる方はリースがおすすめです:
- 初期費用を抑えたい方
- まとまった資金を用意できない
- 現金を手元に残しておきたい
- 10年以内の利用予定の方
- 住宅の建て替え予定がある
- 引越しの可能性がある
- メンテナンスの手間を省きたい方
- 機器の管理が面倒
- 故障時の対応を任せたい
- 月々の支出を一定にしたい方
- 家計管理を簡単にしたい
- 急な出費を避けたい
購入が向いている人
以下の条件に当てはまる方は購入がおすすめです:
- 長期利用予定の方(15年以上)
- 住宅に長く住む予定
- 総費用を抑えたい
- 機種にこだわりたい方
- 特定のメーカーを使いたい
- 大容量の蓄電池が必要
- 補助金を活用したい方
- 高額な補助金が利用できる
- 初期費用の負担を軽減したい
- 所有権を重視する方
- 機器を自分のものにしたい
- 契約に縛られたくない
リース契約時の注意点と失敗しない選び方
契約前に確認すべき8つのポイント
1. 契約期間と中途解約条件
- 契約期間の長さ
- 違約金の金額
- 解約可能な条件
2. 月額料金の内訳
- 基本料金
- 工事費の分割分
- メンテナンス費用
- 保険料
3. 対象機種の仕様
- 蓄電容量
- 放電能力
- メーカー・型番
- 保証期間
4. メンテナンス・保証内容
- 定期点検の頻度
- 故障時の対応
- 部品交換の範囲
- 保証の除外事項
5. 災害時の対応
- 自然災害時の保証
- 修理不可能時の取り扱い
- 代替機の提供
6. 契約満了時の選択肢
- 所有権の移転
- 契約延長の可否
- 撤去費用の負担
7. 電気料金プランとの整合性
- 電力会社の指定
- 料金プランの制約
- 契約変更の可否
8. 工事内容と範囲
- 標準工事の範囲
- 追加工事費用
- 設置条件
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1:契約期間の見誤り
問題: 引越しや建て替えで途中解約が必要になった 対策: 将来の住宅計画を十分検討してから契約
失敗パターン2:電気代削減効果の過大評価
問題: 予想より電気代が下がらなかった 対策: 現在の電気使用量を正確に把握し、シミュレーションを行う
失敗パターン3:メンテナンス内容の勘違い
問題: 想定していたメンテナンスが対象外だった 対策: 契約書の保証・メンテナンス条項を詳しく確認
蓄電池リースの申込み手順
申込みから設置までの流れ
1. 相談・見積もり(1~2週間)
- 電気使用量の確認
- 設置条件の調査
- 月額料金の算出
2. 契約手続き(1週間)
- リース契約の締結
- 工事日程の調整
- 必要書類の提出
3. 設置工事(1日)
- 機器の搬入・設置
- 電気配線工事
- 動作確認・説明
4. 運用開始
- 定期点検の実施
- 月額料金の支払い開始
- 電気代削減効果の確認
必要書類
- 身分証明書
- 住民票
- 印鑑証明書
- 電気料金明細書(直近3ヶ月分)
- 建物の図面(場合により)
まとめ:蓄電池リースで賢くエネルギー自給を始めよう
蓄電池リースは、初期費用0円で手軽に蓄電池を導入できる魅力的な選択肢です。
リースを検討すべき方:
- 初期費用を抑えたい
- 10年以内の利用予定
- メンテナンスを任せたい
- 月々の支出を一定にしたい
購入を検討すべき方:
- 15年以上の長期利用予定
- 機種にこだわりたい
- 補助金を最大限活用したい
- 所有権を重視する
2025年は多くの人が卒FIT後に蓄電池を設置する人が爆発的に増える年になる事は間違いないでしょう。電気料金の高騰が続く中、蓄電池の導入は電気代削減と災害対策の両面で重要性が高まっています。
まずは複数の業者から見積もりを取り、リースと購入の両方で比較検討することをおすすめします。
将来のライフプランと照らし合わせながら、最適な導入方法を選択し、快適で経済的なエネルギー自給生活を始めましょう。
参考資料
- 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)「DR補助金について」
- 経済産業省「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業」
- 東京都環境局「蓄電池補助金制度」
- 各電力会社リース事業部資料
本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の補助金情報や料金については、各提供会社にお問い合わせください。