はじめに:蓄電池の価格を知ることで失敗しない選択を
家庭用蓄電池の導入を検討している方にとって、最も気になるのが「価格」ではないでしょうか。太陽光発電とセットで導入すれば電気代の大幅な節約が期待できる一方で、初期費用の高さに躊躇している方も多いはずです。
適正価格を知らずに購入すると、数十万円の損をする可能性があります。
この記事では、2025年最新の蓄電池価格相場から、メーカー別比較、安く導入するための方法まで、蓄電池の価格に関するすべての情報を分かりやすく解説します。
蓄電池の価格相場|2025年最新版
基本的な価格相場
家庭用蓄電池の価格相場は、販売店・蓄電容量・寿命・仕様によって大きく異なります。小容量の5kWhで約125万円~大容量の16.6kWhで約240万円と価格帯は非常に幅広いのが現状です。
2025年の価格相場(工事費込み)
容量 | 価格相場(工事費込み) | 1kWhあたり単価 |
---|---|---|
5kWh | 100万円~150万円 | 20万円~30万円/kWh |
7kWh | 140万円~210万円 | 20万円~30万円/kWh |
10kWh | 180万円~250万円 | 18万円~25万円/kWh |
15kWh | 250万円~350万円 | 17万円~23万円/kWh |
価格変動の傾向
蓄電池の価格は、技術革新や製造技術の向上などによって年々下がってきています。経済産業省による目標価格は、2017年には約22.5万円/kWhでしたが2019年には13.5万円/kWhまで下がっており、今後2030年度には工事費込みで7万円/kWh以下にするとしています。
価格低下の背景
- 製造技術の向上によるコスト削減
- 市場競争の激化
- 量産効果による単価低下
- 政府の価格低減目標設定
蓄電池の価格を決める5つの要因
1. 蓄電容量
蓄電池の価格に最も大きく影響するのが容量です。容量が大きくなるほど1kWhあたりの単価は下がる傾向にありますが、総額は高くなります。
容量別の特徴
- 5~7kWh:一般的な家庭向け、コストパフォーマンス重視
- 8~12kWh:大家族や電力消費量が多い家庭向け
- 13kWh以上:停電対策重視、高い自給率を求める家庭向け
2. 蓄電池のタイプ
蓄電池には大きく分けて「単機能型」と「ハイブリッド型」があります。
タイプ | 特徴 | 価格帯 |
---|---|---|
単機能型 | 蓄電池専用パワコン使用 | 比較的安価 |
ハイブリッド型 | 太陽光発電と共通パワコン | 高価だが効率的 |
ハイブリッド型は変換効率が良いため、エネルギーを効率的に利用できますが、初期投資は高めです。
3. 停電時の給電方式
停電時の電力供給範囲によって価格が変わります。
給電方式 | 停電時の特徴 | 価格 |
---|---|---|
特定負荷型 | 特定の部屋のみに100V供給 | 安価 |
全負荷型 | 家全体に100V・200V供給 | 高価 |
全負荷型は停電時にすべての電化製品が停電時使用できる蓄電池です。当然のことながら全負荷型の方が性能上高くなります。
4. メーカーとブランド
メーカーによって価格帯や性能に大きな差があります。国内メーカーは品質と保証が充実している一方、海外メーカーは価格競争力があります。
5. 設置工事費
蓄電池の価格には本体価格のほかに以下の工事費が含まれます:
- 電気工事費(配線接続、分電盤改修)
- 設置工事費(基礎工事、機器設置)
- 既存設備の撤去・廃棄費用(該当する場合)
- 運搬費用
メーカー別価格比較|主要蓄電池の相場
国内主要メーカーの価格帯
シャープ
- クラウド蓄電池システム
- 容量:6.5~15.4kWh
- 特徴:豊富なラインナップ、コストパフォーマンス良好
- メーカー希望小売価格でも6.5万円~8.5万円/kWhと、他社製品と比べてかなり安いです。
パナソニック
- 創蓄連携システム
- 容量:3.5~37.8kWh(組み合わせ次第)
- 特徴:高品質、長期保証、豊富なバリエーション
ニチコン
- トライブリッド蓄電システム
- 容量:4.9~14.9kWh
- 特徴:EV連携可能、高い信頼性
京セラ
- Enerezza Plus(エネレッツァ プラス)
- 容量:5.0~16.6kWh
- 特徴:クレイ型の蓄電池で高安全性と20,000サイクルの業界最長寿命を実現しております。
注目の海外メーカー
テスラ Powerwall
- 容量:13.5kWh
- 大容量かつ低価格で、スマートフォンのアプリで制御や管理ができる洗練された家庭用蓄電池です。
- 約6万1000円/kWhと、1KWhあたりの蓄電容量では、この記事で紹介した蓄電池の中で最も安いです。
価格競争力の比較
各メーカーの蓄電池の価格(定価)を比較したところ、1kWhあたりの価格(定価)が最も安いのは、テスラのPowerwallの9.6万円/kWhでした。次に安かったのが、ダイヤゼブラ電機のEIBS7(2台併設)の18.0万円/kWhですから、いかにテスラのPowerwallが破格の安さなのかが分かります。
蓄電池の補助金で価格を大幅削減
2025年の国の補助金制度
DR補助金(デマンドレスポンス補助金)
- 補助額:設備費・工事費の1/3(上限60万円)
- 申請期間:2025年4月中旬~12月5日
- 条件:実証実験への参加が必要(施工業者が対応)
子育てエコホーム支援事業
- 対象:子育て世帯や若者夫婦世帯
- 補助額:蓄電池設置で最大64万円
- 条件:省エネ住宅の新築・リフォーム
自治体補助金の活用
国の制度では最大60万円、自治体を含めると100万円以上になることもあります。地方自治体独自の補助金制度も充実しており、国の補助金と併用可能な場合が多いです。
主要自治体の補助金例
- 東京都:蓄電池設置で最大120万円
- 神奈川県:県と市の補助金併用で80万円超
- 埼玉県:50万円超の補助金
補助金活用の注意点
蓄電池の補助金は、期日前でも予算を使い切ったらそこで受付を終了してしまいます。早めの検討と申請が重要です。
蓄電池を安く導入する5つの方法
1. 複数業者からの相見積もり
蓄電池の価格を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取って比較検討し、最も安い業者を探し出すことが必要です。
相見積もりのメリット
- 価格競争により安価で購入可能
- 各業者のサービス内容を比較
- 適正価格の把握
2. 太陽光発電とのセット導入
蓄電池を太陽光発電システムとセットで導入するのも価格を抑える方法の一つです。セットで導入すると設置工事が同時に行えるため別々に工事をするよりも安くなりますし、セット割引を受けることができます。
3. 補助金制度の最大活用
国と自治体の補助金を併用することで、実質的な導入コストを大幅に削減できます。
4. 適切な容量選択
自分の目的に合った容量の蓄電池を選ぶようにすることが、結果としてコストダウンにつながると言えるでしょう。
過大な容量を選ぶと初期費用が無駄に高くなり、過小な容量では期待した効果が得られません。
5. 型落ち製品の活用
蓄電池の価格を抑えるために、型落ちした蓄電池を購入する方法もあります。最新機種では性能向上や不具合の改善などが行われますが、基本的な性能は変わっていないことがあるため、最新型にこだわらなければ型落ちの蓄電池でも問題ないと考えられます。
蓄電池の寿命と長期コスト
蓄電池の寿命
家庭用蓄電池の主流となっているのは、リチウムイオンバッテリーです。家庭用蓄電池として用いられる場合、寿命の目安は15年~20年といえるでしょう。
寿命に影響する要因
- 充放電サイクル数:リチウムイオン電池の寿命は10年から15年が目安といわれています。
- 使用環境(温度、湿度)
- 設置場所
- メンテナンス状況
長期的なコストパフォーマンス
蓄電池のように比較的高価な買い物をするときは、どうしても初期費用に目がいってしまいがちですが、初期費用だけではなくランニングコストについても考慮することが重要です。
総所有コスト(TCO)の考え方
- 初期費用(本体価格 + 工事費)
- 補助金による削減額
- 電気代削減効果
- メンテナンス費用
- 保証内容
蓄電池選びで失敗しないポイント
容量の適切な選び方
家庭の電力使用量に応じた適切な容量選択が重要です。
容量選択の目安
- 月の電気使用量を確認
- 停電時に必要な電力を算出
- 太陽光発電の余剰電力量を考慮
- 将来的な電力需要の変化を予測
信頼できる業者の選び方
良い業者の特徴
- 補助金申請のサポートが充実
- アフターサービスが手厚い
- 複数メーカーを取り扱っている
- 見積もりが詳細で分かりやすい
- 施工実績が豊富
保証内容の確認
確認すべき保証項目
- 機器保証:10~15年が標準
- 容量保証:一定期間の蓄電容量を保証
- 自然災害補償:火災・落雷・台風等への対応
- 施工保証:工事に関する保証
2025年の蓄電池市場動向
価格下落の継続
家庭用蓄電池の費用は、主に工事費と本体価格、その他費用で構成されています。経済産業省の「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(案)」によると工事費については、1kWhあたり2万円が標準的な水準となるようです。また、蓄電池本体の価格相場は1kWhあたり15~20万円となっています。
技術革新による性能向上
- より高密度なリチウムイオン電池の開発
- AI機能の向上
- 系統連系技術の進歩
- V2H(Vehicle to Home)対応の普及
市場競争の激化
国内外メーカーの競争激化により、価格競争力とサービス品質の向上が期待されます。
まとめ:蓄電池の価格を理解して賢い選択を
蓄電池の価格は容量・タイプ・メーカーによって大きく異なりますが、2025年現在の相場は5kWhで100万円~、大容量15kWh級で250万円~が目安となっています。
成功するための重要ポイント
- 複数業者からの相見積もりは必須
- 補助金制度を最大限活用する
- 太陽光発電とのセット導入を検討
- 長期的なコストパフォーマンスを重視
- 信頼できる業者選びが成功の鍵
蓄電池は10年以上使用する長期投資です。目先の価格だけでなく、トータルコストと得られる価値を総合的に判断して、ご家庭に最適な蓄電池を選択しましょう。
適正価格での蓄電池導入により、電気代の大幅削減と停電時の安心を手に入れ、快適で経済的な生活を実現してください。
この記事の情報は2025年6月時点のものです。補助金制度や価格は変動する可能性がありますので、導入検討時には最新情報をご確認ください。