【2025年最新】太陽光発電の売電価格推移を徹底解説!過去13年の変化と今後の予測

  1. はじめに:売電価格とは何か?
  2. 太陽光発電の売電価格推移:13年間の変化を詳しく解説
    1. 【表】売電価格の年度別推移(住宅用:10kW未満)
    2. 売電価格変化の特徴
  3. なぜ売電価格は下がり続けているのか?4つの主要因
    1. 1. 太陽光パネルの価格低下
    2. 2. 再エネ賦課金の負担増大
    3. 3. 市場原理の働き
    4. 4. 政策目標の実現
  4. 【重要】2025年10月からの新制度「初期投資支援スキーム」
    1. 従来制度との大きな違い
    2. 新制度のメリット
  5. FIT制度とは?基本的な仕組みを分かりやすく解説
    1. FIT制度の概要
    2. 売電の仕組み
  6. 卒FIT後の売電はどうなる?2019年問題とその後
    1. 卒FITとは
    2. 卒FIT後の売電価格
    3. 卒FIT後の選択肢
  7. 売電価格下落でも太陽光発電は採算が取れる理由
    1. 設置費用の大幅低下
    2. 投資回収期間の比較
    3. 現在の方が有利な理由
  8. 今後の売電価格予測と対策
    1. 政府の長期目標
    2. 売電価格下落への対策
      1. 1. 自家消費率の向上
      2. 2. 高効率パネルの選択
      3. 3. 適切な設置容量の選択
  9. 2025年の補助金制度活用ガイド
    1. 国の補助金制度
    2. 地方自治体の補助金例
  10. 設置費用の相場と価格低下の背景
    1. 2025年の設置費用相場
    2. 費用内訳
    3. 価格低下の要因
  11. 失敗しない太陽光発電選びのポイント
    1. 1. 複数社からの相見積もり
    2. 2. 信頼できる施工業者の選び方
    3. 3. 発電量シミュレーションの確認
  12. まとめ:売電価格下落時代の太陽光発電戦略
    1. 重要ポイントの再確認
    2. 今後の展望

はじめに:売電価格とは何か?

太陽光発電を検討している皆さんが最も気になるのが「売電価格」ではないでしょうか。売電価格とは、太陽光発電で作った電気を電力会社に売る際の1kWhあたりの単価のことです。

結論

  • 2025年現在の売電価格は15円/kWh(10kW未満)
  • 2012年の42円から約6割減少したが、太陽光パネルの価格も大幅に下落
  • 今後も売電価格は下がり続ける予想だが、自家消費との組み合わせで十分な経済効果が期待できる

太陽光発電の売電価格推移:13年間の変化を詳しく解説

【表】売電価格の年度別推移(住宅用:10kW未満)

年度売電価格(円/kWh)前年からの変化設置費用(万円/kW)
2012年42円43.1万円
2013年38円-4円39.4万円
2014年37円-1円37.0万円
2015年33円-4円36.2万円
2016年31円-2円35.5万円
2017年28円-3円32.2万円
2018年26円-2円30.0万円
2019年24円-2円29.0万円
2020年21円-3円28.1万円
2021年19円-2円27.5万円
2022年17円-2円26.1万円
2023年16円-1円26.9万円
2024年16円±0円28.6万円
2025年15円-1円25.5万円(予想)

出典:経済産業省 資源エネルギー庁データより作成

売電価格変化の特徴

第1期(2012-2015年):急激な減額期 この時期は毎年1~4円の大幅な下落が続きました。FIT制度開始当初の42円から33円まで、4年間で9円(約21%)も下落しています。

第2期(2016-2021年):安定減額期 年間2~3円のペースで着実に下落。この期間で33円から19円へと14円(約42%)減少しました。

第3期(2022-現在):緩やかな減額期 下落幅が縮小し、2024年は前年据え置きとなりました。政府の再生可能エネルギー普及政策の影響で、急激な下落は避けられています。


なぜ売電価格は下がり続けているのか?4つの主要因

1. 太陽光パネルの価格低下

売電価格下落の最大の理由は、太陽光発電システムの設置費用が大幅に安くなったことです。

  • 2012年:43.1万円/kW → 2024年:28.6万円/kW
  • 約33%の価格低下を実現

これは以下の要因によるものです:

  • 中国メーカーによる大量生産体制の確立
  • 製造技術の向上による効率化
  • 世界的な競争の激化
  • 施工技術の標準化による工事費削減

2. 再エネ賦課金の負担増大

国民全体が電気料金に上乗せして支払う「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の負担が年々増加しています。

  • 2025年度の賦課金単価:3.98円/kWh
  • 一般家庭(400kWh/月)の年間負担額:約19,100円

政府は国民負担を抑制するため、新規設備の売電価格を下げることで賦課金の増加を抑制しています。

3. 市場原理の働き

太陽光発電市場の成熟により、効率的な事業運営が求められるようになりました。経済産業省は「効率的に事業を実施した案件の水準」を基準に売電価格を設定しており、業界全体のコスト削減を促進しています。

4. 政策目標の実現

政府は太陽光発電を「電力コストの安い電源」として位置づけ、将来的には補助なしでも競争力を持つ電源とすることを目指しています。


【重要】2025年10月からの新制度「初期投資支援スキーム」

従来制度との大きな違い

2025年10月以降に認定を受ける太陽光発電には、画期的な新制度が導入されます。

住宅用太陽光発電(10kW未満)の新価格体系

  • 最初の4年間:24円/kWh
  • 5年目以降:8.3円/kWh

事業用太陽光発電(屋根設置)の新価格体系

  • 最初の5年間:19円/kWh
  • 6年目以降:8.3円/kWh

新制度のメリット

  1. 早期回収が可能:初期の高単価により投資回収期間が短縮
  2. 導入促進効果:屋根設置太陽光の普及加速が期待
  3. 国民負担抑制:トータルでの賦課金負担は従来と同水準

FIT制度とは?基本的な仕組みを分かりやすく解説

FIT制度の概要

FIT(Feed-in Tariff)制度は、2012年7月にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」です。

制度の特徴

  • 固定価格:認定を受けた年度の価格で期間中ずっと売電可能
  • 買取期間:住宅用(10kW未満)は10年間、事業用(10kW以上)は20年間
  • 買取義務:電力会社は法律により買取が義務付けられている

売電の仕組み

  1. 余剰売電(10kW未満):自家消費後の余った電力のみ売電
  2. 全量売電(50kW以上):発電した電力をすべて売電
  3. 自家消費型(10-50kW未満):発電量の30%以上を自家消費する必要

卒FIT後の売電はどうなる?2019年問題とその後

卒FITとは

2019年11月から、FIT制度の買取期間(10年間)が満了する住宅が出始めました。これが「2019年問題」と呼ばれた現象です。

卒FIT後の売電価格

大手電力会社の買取価格(2025年時点)

  • 東京電力:8.5円/kWh
  • 関西電力:8.0円/kWh
  • 中部電力:8.0円/kWh
  • 九州電力:7.0円/kWh

新電力会社の買取価格

  • スマートテック:14.6円/kWh
  • エネクスライフサービス:13.5円/kWh
  • 東急パワーサプライ:12.0円/kWh

卒FIT後の選択肢

  1. 売電継続:新電力会社などに売電先を変更
  2. 自家消費へ転換:蓄電池導入で自家消費率向上
  3. 自家消費+余剰売電:最も経済的なハイブリッド型

売電価格下落でも太陽光発電は採算が取れる理由

設置費用の大幅低下

売電価格は42円→15円(64%減)に下落しましたが、設置費用も43.1万円/kW→28.6万円/kW(34%減)と大幅に安くなっています。

投資回収期間の比較

5kWシステムの場合(関東地域の例)

項目2012年2025年
設置費用215.5万円143万円
年間売電収入約25万円約9万円
年間電気代削減約8万円約15万円
年間総メリット約33万円約24万円
投資回収期間約6.5年約6.0年

実際の数値は設置条件により変動します

現在の方が有利な理由

  1. 電気代高騰:電力会社からの購入電力が高くなり、自家消費のメリット拡大
  2. 設置費用の低下:初期投資の負担が大幅に軽減
  3. 技術向上:発電効率の向上により、同じ屋根面積でより多く発電可能

今後の売電価格予測と対策

政府の長期目標

経済産業省は以下の価格目標を設定しています:

  • 2025-2027年度:11円/kWh(事業用)
  • 将来目標:卸電力市場価格並み(7-9円程度)

売電価格下落への対策

1. 自家消費率の向上

蓄電池の活用

  • 昼間発電した電力を夜間に使用
  • 電気代単価(25-30円/kWh)>売電価格(15円/kWh)
  • 年間10-20万円の電気代削減効果

V2H(Vehicle to Home)システム

  • 電気自動車のバッテリーを家庭用蓄電池として活用
  • 大容量(40-80kWh)で蓄電池より経済的

2. 高効率パネルの選択

発電効率の重要性

  • 同じ屋根面積でより多くの発電量を確保
  • 初期費用は高くても長期的な収益性が向上
  • 変換効率20%以上のパネルがおすすめ

3. 適切な設置容量の選択

自家消費を考慮した容量設計

  • 4人家族:5-6kW程度が最適
  • 昼間の電力使用量:4-5kWh/日
  • 将来の蓄電池・EV導入も考慮して設計

2025年の補助金制度活用ガイド

国の補助金制度

住宅用太陽光発電

  • 単体での国の補助金はなし
  • 蓄電池とセットで最大60万円の補助金あり(自治体により異なる)

事業用太陽光発電

  • 経済産業省:最大1億円(自家消費型)
  • 環境省:最大1億円(脱炭素化促進)

地方自治体の補助金例

東京都

  • 太陽光発電:12-15万円/kW(上限60万円)
  • 蓄電池:最大60万円

神奈川県

  • 太陽光発電:2万円/kW(上限10万円)
  • 蓄電池:最大33万円

補助金情報は年度により変更されるため、最新情報を確認してください


設置費用の相場と価格低下の背景

2025年の設置費用相場

住宅用太陽光発電(kW単価)

  • 適正価格:20-25万円/kW
  • 平均価格:28.6万円/kW(経済産業省データ)
  • 訪問販売:40-50万円/kW(要注意)

費用内訳

5kWシステムの場合(143万円の内訳)

  • 太陽光パネル:約67万円(47%)
  • パワーコンディショナー:約14万円(10%)
  • 架台・配線等:約20万円(14%)
  • 工事費:約41万円(29%)

価格低下の要因

  1. 製造技術の進歩:生産効率の向上により単価低下
  2. 市場競争の激化:メーカー間の競争により価格下落
  3. 施工技術の標準化:工事効率向上により施工費削減
  4. 大量生産効果:需要拡大による規模の経済効果

失敗しない太陽光発電選びのポイント

1. 複数社からの相見積もり

見積もり比較のポイント

  • 最低3社以上から取得
  • kW単価で比較(総額÷設置容量)
  • 保証内容や施工品質も考慮
  • 追加費用の有無を確認

2. 信頼できる施工業者の選び方

チェックポイント

  • 施工実績の豊富さ
  • アフターサービス体制
  • 有資格者の在籍状況
  • 地域密着型の業者

3. 発電量シミュレーションの確認

重要な確認事項

  • 屋根の方角・傾斜角度
  • 周辺建物による影の影響
  • 地域の日照条件
  • 年間発電量の妥当性

まとめ:売電価格下落時代の太陽光発電戦略

重要ポイントの再確認

  1. 売電価格は下がっているが設置費用も大幅低下
    • 2012年比で売電価格は64%減、設置費用は34%減
    • 投資回収期間は現在の方が短い
  2. 自家消費重視の時代へ
    • 電気代(25-30円/kWh)>売電価格(15円/kWh)
    • 蓄電池やV2Hとの組み合わせが効果的
  3. 2025年10月からの新制度に注目
    • 初期4年間は24円/kWhの高単価
    • 早期導入により投資回収期間短縮
  4. 補助金制度の積極活用
    • 国・自治体の補助金で初期費用軽減
    • 蓄電池とセット導入がお得

今後の展望

売電価格の下落は続く見込みですが、太陽光発電の経済性は十分に確保されています。重要なのは売電依存から自家消費重視への転換です。

電気代の高騰、環境意識の高まり、停電対策の必要性を考慮すると、太陽光発電+蓄電池の組み合わせは今後さらに注目される投資といえるでしょう。

最後に、太陽光発電は20-30年の長期投資です。目先の売電価格だけでなく、長期的な電気代削減効果、環境貢献、災害対策など、総合的なメリットを考慮して判断することが大切です。


この記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の制度や価格については、経済産業省資源エネルギー庁のホームページをご確認ください。

参考資料

  • 経済産業省 資源エネルギー庁「固定価格買取制度」
  • 調達価格等算定委員会「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」
  • 一般社団法人 太陽光発電協会統計資料